2017年01月01日

書評じゃないんだけど...『英検一級合格マップ』について

なにかと話題のあの本。正式にコメントするつもりはなかったんですが、まあ独り言のようなものだと思ってください。

きっかけは、以下のような発言を見かけたことです。見過ごせませんね......
科学雑誌を使って勉強会をしてるそうだから、そちらからの英検対策への応用でも載ってるのかとも期待した。
「科学の勉強をしてついでに英検1級を取ろう」みたいな。
ところが、雑誌名をあげてるだけ。それもサイエンティフィックアメリカンとナショナルジオグラフィックといった「ちょっと洋雑誌で勉強しよう」という人なら知ってる定番雑誌でつまらん。
著者に「あたしはそうゆう読者を対象にこの本を書いたわけじゃない」と言われたらそれまでだけど。
もっとくわしく具体的な情報がほしいという方のために、(なぜか)著者に代わって私が補足いたします。

● "Scientific American" は、(科学の専門家ではなく一般の科学ファンを対象にした)アメリカの科学雑誌。ただし、入門書レベルではないので、読むためには科学リテラシーや背景知識が必要となる。
※ "Science" や "Nature" は専門誌です。念のため。

●宇宙、医療、情報、環境、(物理・化学・生物と関連する)テクノロジーなど、幅広いテーマを扱っている。
心理学に特化した "Scientific American MIND" という関連雑誌もある。これらのテーマはかなり英検一級と重なっている。ただし、英検一級・TOEFL・IELTS の Reading よりも英語レベルは上!
※ "National Geographic" のほうが "Scientific American" よりもテーマの幅がせまくて専門性が弱いです。英語レベルも少しやさしくて写真も多い、つまり読みやすいです。ひょっとすると、英検一級へのお役立ち度は少しだけ低いかもしれませんが。

●英検一級をすでにもっている、あるいは TOEIC が満点近くであっても、サイエンスが苦手な人がひとりで "Scientific American" を読んで理解するのは、かなり難しい(let alone 準一級 or TOEIC 800-...)。
●著者が主催していた学習会では、医療、情報、物理、化学、生物、英文法・語法、アメリカ事情...などに詳しい参加者がそれぞれいたので、お互いに情報を提供して解説しあっていた
※みなさまありがとうございます! 質問する・されるだけでも視野が広がると思います!!

学習会でやっていたのは精読が中心だったんですが、肝心の英検対策とのつながりは...

パラグラフ・リーディングと対比で華麗に解く、英検一級!(笑)
●学んでいることは、英検一級の Reading にも(Vocabulary にも Listening にも Writing にも Speaking にも)生きてくる! まあ、"Scientific American" の精読に比べれば、一級の Reading で合格点を取るなんて楽勝!!

学べること(1) 理系の文章のパターンに慣れる:
出だしのパターンは「一般にはこんなことが信じられてきた。しかしながら、○○の最新の研究によると、それは違うということがわかってきた」みたいな感じ。ひとつの記事が2〜6ページくらいあるときは、パラグラフ・ライティングのルールがしっかり守られていることが多いので、パラグラフの役割にも敏感になる。また、知ってるつもりの単語でもサイエンスにおける意味は違うこともある。

学べること(2) 言い換えと対比の確認:
この2点が英検一級の設問に直結していることがひじょうに多い(もう1点加えるとすれば類比)。単語をいくら覚えても正解できないのは「言い換えと対比」が見抜けないから。言い換えと対比の実例が、すべての記事にこれでもかというほど登場してくる。

学べること(3) 未知の単語の対処法:
最低2回通読する。1度目は辞書を使わずに全体の流れをつかむ、2度目は徹底的に調べながら精読する。この1度目が未知の単語の対処法の練習となる。「パラグラフの流れ・役割」「言い換えと対比」から推測、あるいはサイエンス用語に頻出の語根から推測する。

学べること(4) 背景知識の充実による時間の短縮:
2度目の読み方=不明点は徹底的に調べる(または誰かに教えてもらう)。それによって、次第に背景知識が充実してくる。その結果、読解の時間が劇的に短縮できるようになる。英検の配点が変わったため、Vocabulary + Reading とWriting の配点がおなじになった。Writing や Listening の先読みに時間をあてるため、Reading の時間はできるだけ短縮したい。

※私が合格した2014年の第3回。ここ数年でいちばん難しかった(=合格点が低かった)です。とくに「Space Elevator 宇宙エレベータ」が(ネイティブも苦戦するほどの)難問といわれていますが、私は本文をほとんど読まずに(おそらく1分くらいで)全問正解しています。
※「宇宙エレベータなんて常識だろ。いちいち自慢するな!」とお𠮟りを受けました。
 ……てへぺろ
 

I hope this will help.
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2016年09月30日

書評『ビジュアル英文解釈』

休日&出張の友。
Scientific AmericanNational Geographic をもっとしっかりと読むために、その10。

(短文系でも長文系でもない)英文解釈:
ビジュアル英文解釈(Part1)』『ビジュアル英文解釈(Part2)
伊藤 和夫  おすすめ度★★★★★★

はじめにもうしあげておきますが、私は「伊藤和夫教の信者」ではありません。この本は多くの致命的な欠点ももっています。それでもなおかつ類書では得られない価値がたくさんあります。レベルは、高校入試程度の英文からスタートして、共通一次(昔のセンター試験みたいなもの)へ、そして最終的にはいくつか難関大の英文もありました。
ただし、「マークシートで正解が選べる」のと「もとの英文がしっかり読める」のは、まったくちがうレベルなので要注意! 共通一次の英文を100%理解するのは意外とむずかしいです。

【取り組み方】
「例題61問(複数のパラグラフからなる文章)」+「すべての解説の精読」を2周+アルファ。
※著者すいせんの「文法編」「さくいん」を使っての復習は、やりません。
※はじめてのとき(何年か前)すべての例題をコピーしてノートに貼りましたが、さすがに面倒なので今回は本のままで。ノートなくしちゃったし……。

【よいと思うところ】
●(和訳のコツを寄せ集めたような類書とはちがって)英文解釈の基本原則がほんとうに学べるようになっている。
●(重要事項と例外事項が同列にあつかわれている類書とはちがって)重要事項が、形を変えてしつこく繰り返される
●きわめて詳しい解説(とくに「誤解を連発する生徒3人と先生の会話」のコーナーが独特)。
●これほど手間をかけてつくっている参考書は、他の分野にもほとんど存在しない。
●超くわしいさくいんがついている。

【悪いと思うところ】
●ハードカバーと独特のレイアウトのため、きわめて読みにくい。「解説」と「英文の本文」「Review」の3コーナーを、ひたすらページをめくって行ったり来たりしなければいけない。
※すべての例題をコピーしてノートに貼るのがいいかも(はじめから別冊になっていれば、その必要はないけれど)。
※「解説」で話題になっている本文中の英文が省略なしに再掲、あるいは「Review」の例文が「解説」中に再掲してあれば、いちいちもどる必要がなくなる(ページ数は増えてしまうけれど)。
●(文法編やさくいんをのぞいても)全526ページ。あまりにもたくさんの情報がつめこまれていて、一周するのがほんとうに大変! 軽薄短小な最近の参考書とちがって、重厚長大。
※時間と手間がかかってもいいから本格的にやりたい人むけ。
●構成上、細切れ時間に少しずつ……ということができない。腰をおちつけてじっくりとりくむ必要がある。
●英文そのものには、あまり魅力はない。原則さえ理解できればそれ以上の復習は必要なく、別の本(より自然な英文の載っている本)にすすむべき。
●音声がない。

【結論】
やはり、まず『ビジュアル英文解釈』で理論を学び、その後に『基礎英文問題精講』『新英文読解法』で実践練習、そして原書の多読・精読へというのが王道であると確信いたしました。
よくみる「上巻と下巻のあいだにギャップがあるから、別の本をあいだに挟め」というアドバイスは、木に竹をつぐようなもので邪道! 『ビジュアル』は2冊で1冊であって、そもそもギャップなど存在しません。かりにギャップを感じたとしたら、前半の復習不足か語彙の不足が原因でしょう。
(注)これはあくまでも「構文(一文ずつ、節や句の修飾関係)を理解するための本」であって、「長文(大意の把握や議論の構成)を理解するための本」ではありません。ご注意を!

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2016年09月25日

やっぱり『ビジュアル英文解釈』いいね!

さいきん出張が多くて、ちょっととたいへんです……。

これまでの記事で推薦していることもあり、以前に一度とりくんでいる『ビジュアル英文解釈(Part1)』『ビジュアル英文解釈(Part2)』を出張の移動時に復習中です。他の軽めの英文解釈本とちがって、ベラボーに時間がかかりますし、細切れ時間に少しずつ進めることもできません。全コーナーが有機的につながっているため、「ココだけやって(アレはやらず)解説は不明点だけ読む」みたいな使い方もできません。……というわけで、まだ Part1 を一周しただけですが、★6つですねコレは。

いぜん、学習参考書の編集(ただし英語ではありません)を仕事にしていたため、一般の方よりも参考書をみる目はあるつもりです。もちろん欠点もあるんですけど『ビジュアル英文解釈』『基礎英文問題精講』みたいに時間と手間をかけてつくっている参考書はほとんどないんです。それがわかるからおすすめしたくなるんです。ただし、お手軽にやり切れるような本ではありません

時間がかかってもいいから力をつけたいという方には、やはり、まず『ビジュアル英文解釈』で理論を学ぶ → 『基礎英文問題精講』や『新英文読解法』で実践練習をつむ → 多読へというのが一番のおすすめです。
※正直、大学受験生にはおすすめしません。たいへんすぎます。
※詳しいレビューは、もうしばらくあと(Part2 を読んだあと)になります。
副作用:『ビジュアル』『基礎精講』と比較すると、いま細切れ時間に復習している『京大入試に学ぶ 英語難構文の真髄』が、(ただむずかしいだけで学びが少なくて)たいした本じゃないような気がしてきました……。
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2016年09月19日

書評『基礎英文問題精講』

休日&出張の友。
Scientific AmericanNational Geographic をもっとしっかりと読むために、その9。

短文系英文解釈:
基礎英文問題精講中原 道喜  おすすめ度★★★★★

以前に一度とりくんでいるのですが、忘れてしまっている!部分もあり、復習です。「Part 1 構文編」は、記憶よりもやさしい印象。とはいえ、『英文読解の技術 100』とおなじくらいかな?(前の記事で「手ごたえがない」と書いたのは、Part 1 のことです。)
「Part 2 文脈編」は Part 1 よりもむずかしく、この本の真骨頂といえるでしょう。

【取り組み方】
復習なので、「例題60問のみ」を2周+アルファ。
※はじめてのとき(何年か前)は、「練習問題」などもいっさい省略せずに全190問とりくみました。
※今回は、おなじ著者の『新英文読解法 −本格的な読解力を確実に−』(これも復習ですが…)で分量を補充しようと思っています。

【よいと思うところ】
●課題文がたんに構文の観点だけから選ばれておらず、考えさせられるような深い内容をふくんでいる。
●構文だけではなく、文脈にも力をいれている(「Part 2 文脈編」)。
●分量が多く、情報がぎっしりつまっている。表紙の裏でもどこでも、ちょっとでもすきまがあれば、「豆知識」みたいなことが書いてある。
●(おざなりではなく)手間をかけてつくっている感じがする。
●さくいんがついている。

【悪いと思うところ】
●あまりにたくさんの情報がつめこまれていて、一周するのが大変!
(前回とりくんだときは、負担感を軽くするために、本を Part ごとに切りはなした。)
●音声がない。

【結論】
やはり、まず『ビジュアル英文解釈』で理論を学び、その後に『基礎英文問題精講』で実践練習をつむというのが王道であると確信いたしました。

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2016年09月18日

不思議な感覚

最近は、すきま時間に英文解釈本にずっと取り組んでおります。自分の「感覚」としては『ビジュアル英文解釈』と『基礎英文問題精講』のコンビで力をつけたような気がしていて、それらと比べて書評をしてきたつもりです。

ひさびさに復習をしようと思って『基礎英文問題精講』を読み直していて、不思議な感覚におそわれています。前回は英語学習をやりなおしはじめたばかりで、英検準1級をとるよりも前でした。「えーっ、これで『基礎』かよ!」と思ったおぼえがありました。ところが、いまは意外と手ごたえがなくて「やっぱ『基礎』だな」……と。難関大の過去問ばかりあつめた『最高レベルの学力養成 ライジング英文解釈』も、3周目にはあっさり感じたし……。

『京大入試に学ぶ 英語難構文の真髄(エッセンス)』の高地トレーニング効果なんでしょうか? その復習がおわったら、いよいよ(かつては数ページだけで挫折した)英文問題精講』『英文解釈教室に挑戦するべきときがきたのかもしれません。

なんでこんなに(高校生にとっては)難しい本が、いまだに大学受験用として売られているのか、わからないけどにゃー。
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